掘削機のバケットバー上端割れの原因分析と改善について

1.クラッキング現象

ある型番の掘削機は、出荷後、稼働時間が約3000時間に達した段階で、バケットアーム上端に亀裂が生じる現象が相次いで発生した。亀裂の具体的な発生箇所は、バケットアーム上部の補強板と、バケットアームシリンダーのピストンロッド支持板が接合する重なり溶接部であった。このような亀裂により、バケットロッドの底板が破断し、亀裂はバケットロッドの底板に沿って横方向に延びていく。負荷の大きい掘削機のバケットロッド底板は破断寸前となっており、一部の掘削機では、図1に示すように、亀裂がバケットロッドのウェブ部分まで達している。

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2.原因分析

(1)バケットロッドシリンダーのピストンロッド支持部の当初の設計では、当該型式の掘削機の底板下端に補強板が設けられていなかったため、繰り返し溶接が行われた結果、鋼材の靭性が低下し、使用中に立板と底板の溶接部に底板の曲げ変形が生じた。 後期の製品では、底板の剛性を高め、変形を防ぐために補強板を追加溶接したが、溶接後に立板と補強板の間に溶接部の重なりが生じ、これがバケットアーム底板の塑性と靭性を低下させ、底板に荷重がかかった際に亀裂が発生する原因となった。

(2) 応力集中

ショベルカーが掘削作業を行う際、バケットシリンダーのピストンロッド支持部にかかる荷重が最大かつ最も激しくなり、その部分の底板は引張・圧縮の交番応力にさらされ、この交番応力は絶えず変化している。さらに、支持板が補強板まで延びている部分は脆弱な箇所であり、支持板が底板に向かって延びている長さが比較的短いため、支持板と底板の接合部に応力集中が生じ、その結果、支持板によって底板が引き裂かれてしまう。

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ブームシリンダーのピストンロッド支持部に対して有限要素法による応力解析を行った結果、掘削機が最大掘削力を発揮している状態において、立板が補強板部分まで伸びた際に生じる引張応力が175MPaに達することが判明した。また、溶接時に応力が発生するため、 そのため、応力集中に関連する現象がより顕著に現れている。

(3) 破砕ハンマーの長時間使用

掘削機ユーザーを対象に調査を行った結果、バケットアームシリンダーのピストンロッド支持部に亀裂が生じた掘削機は、すべてブレーカーを装備していたことが判明した。これらの掘削機は、長時間にわたりブレーカーを使用して作業を行っていたため、当該シリンダーの支持部が大きな交変応力にさらされ、その結果、その底板に亀裂が生じたのである。

3.改善プログラム

バケットシリンダーのピストンロッド支持部における亀裂の問題を根本的に解決するため、元の支持部のヒンジ位置を変更せずに維持した上で、バケットシリンダーの支持部構造に対して以下の案に基づき改良措置を実施した。

(1) 構造強度の向上

構造強度を高めるために2つの対策が講じられた。1つ目は、支座底板2を大きくし、厚みを増して長さを延長すること、2つ目は、支座立板3を拡幅することである。その状況を図2に示す。支持台底板2を厚くすることで、バケットロッド上端の強度と剛性を向上させ、バケットロッド上端の変形や亀裂の発生の可能性を低減することができる。支持台底板2を延長したことで、この箇所でバケットロッド底板1と接合する際の高応力領域を回避し、溶接部の作用応力を低減した。支持台の立板3を拡幅し、下方に300ミリメートルほど延長すると同時に、支持台の立板3の断面積を徐々に小さくすることで、このような緩やかな移行特性を持つ構造により、この箇所での応力集中を低減することができる。

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改良後のバケットシリンダー支持部に対して有限要素法による応力解析を実施したところ、現在の最大応力は140.78MPaであり、この値は改良前の値から低下したものである。また、高応力領域の面積は縮小され、その縮小幅は相当大きい。

(2) 改善点溶接工程

支持板3の溶接方法を多層溶接に変更し、溶接時の溶接部における発熱量を低減する。溶接後は、溶接ビードの移行部を滑らかに研磨し、それによって応力集中点の発生を低減する。溶接工程を改善することで、溶接ビードが減少するとともに、溶接変形および溶接応力も軽減される。

4.有効性の向上

このショベルのバケットアームシリンダーのピストンロッド支持部を改良した。改良により、構造強度が向上しただけでなく、溶接作業量が削減され、製造工程も簡素化され、ひいてはバケットアームの製造効率が向上した。少量試作を経て市場投入された後、当該モデルの掘削機ではバケットアーム上端の亀裂現象が一切発生しなくなったことから、この構造改良が成功したことが示された。

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